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礼文から利尻へ
さて礼文島に別れを告げ、次の目的地である利尻島へ出航。


いい天気。
やっぱり晴れの日の船旅ほど心落ちつくものはなかなかない。
礼文から利尻まで、所要時間はわずか45分ほど。近い。
晴れ渡った空に壮大な利尻岳がずしりと構える、この景色は唯一無二の航路だろう。本当に来られてよかった。

船内で座席に身を預け、のんびりと過ごすのも良い。
夏の午後の情緒、少しうとうとしたり。

あたたかい夏の影に、ぬるくなった青が満ちていく。
そんなふうに旅情に浸っていると、すぐに船は目的地である利尻島・鴛泊港に到着した。
島の玄関口、鴛泊港

港は宿の送迎や船から降りてきたバイカーたちであふれ、賑わいを見せている。
少しずつ日もかげり、過ごしやすい時間になってきた。

利尻岳と逆方向へ振り返ると、特徴的な緑の岩山が目に飛び込んでくる。
名をペシ岬というらしい。
一目見ただけだが、その異様な存在感にすっかり心惹かれてしまった。
あとで登りに行こう。

港についてすぐにこんな景色に出会えるのだからたまらない。
この時点でもうテンションは最高潮。利尻最高だ。
夏で日が長いとはいえ、ぼーっとしていると太陽が沈んでしまう。
早く宿でチェックインを済まそう。
今回お世話になるのは、港からほど近いお宿マルゼン。
ここでは宿の詳細は省くが、とても素敵で親切な女将さんがいる宿だった。
再訪の機会があればまたお世話になりたい。
夕焼け探訪、ペシ岬
チェックインを済ませた部屋で少しのんびりしていると、だんだんと西日の色が濃くなってきた。
今からペシ岬に向かえば見事な夕焼けが拝めるのではないか、とのことで出発。

宿から見えるペシ岬。
どうやら日没まではもうあまり時間がなさそう。急げ!

意気込んで歩き出したところ、鴛泊へ入港するフェリーがやってきた。
急いでいるが、これは撮らざるを得ない。
船がある景色って素晴らしい、ここに住みたい。そう思うくらいには好きだ。
気を通りなおして、ペシ岬へ。
急いでいたため写真はないが、頂上まで細い遊歩道が整備されている。
せっせか歩く。
少しずつ日が傾いてくのを背中に感じ取り、進む足も速くなる。
登っていると、途中で広場のような開けた場所に出た。

振り返って港の方を望むと、さっき見かけたフェリーが入港するところだった。
それにしても、なんて美しい景色。
利尻富士の麓にやってくるハートランドフェリーを見て、息をのんだ。
あまりにも素晴らしくて、言葉も出ない。

静かな夕暮れの湾内を、尾を引くように進んでいくフェリー。
まだ利尻に来て数時間しか経っていないのに、来てよかった、と何度も思わされている。

なんて、感傷に浸っている時間はあまりない。
沈みゆく日に照らされ、岸壁もどんどん儚い色をたたえていく。

山頂まではまだもう少しかかりそうだ。
今まで以上の足取りで、息を切らしながら岬を駆け上がっていく。

やっと到着、頂上からの景色。
上がった息を整え、ゆっくりとあたりを見回す。


空には月が顔を出し、海との境界が少しずつあいまいになっていく。


利尻の町もばっちり見下ろせる。
こうして上から眺めると高い建物もちらほらあり、礼文に比べると大きな町であることがよくわかる。
利尻の夕暮れは昼の暑さをすっかり追い払い、気持ちのいい風を連れてきた。
景色を見ながらしばし感慨にふける。

この景色を前にすれば、そりゃピースもしたくなる。
これは完全に余談だが、私は写真を撮るときに自分の体を構図に入れるのが好きだ。
自分が見ている世界は結局すべて自分の身体との関わり合いによって成立しているものであって、自分自身無くしては存在しえない。
だから自分で撮る写真には自分の存在が欲しい、と思ったり思わなかったり。

月下を走るバス。
太陽の残滓もすっかり少なくなってきた頃合い。


入れ替わるように、月が力強さを増してくる。
美しさもどんどんシンプルに、洗練されたものへ変わっていく。


もうじき利尻に夜が来る。
暗くなってから下るのもなかなか危ない気がするので、早めに退散することに。

来た道とは別のルートで下っていく。
途中には白い鴛泊灯台。
それに由来してか、ここペシ岬は灯台山とも呼ばれるらしい。
足元に気を使いながら道を歩み、無事下山。
今日はゆっくり休んで、また明日に備えよう。
2日目、雨の利尻
利尻2日目の朝。

お酒の缶やらアイスの蓋やらで散らかった机。
写真だけだと大量に飲酒したように見えるが、1人2缶程度しか飲んでいない。
昨夜の残骸をきれいに片づけ、まずは鴛泊に次ぐ港である沓形港へ向かう。

昨日とはうってかわって、天気はあまり芳しくない。
島全体を雲が覆い、利尻岳の表情もどこか険しげだ。


沓形(くつがた)港へ到着。
ここ沓形は利尻において鴛泊に次ぐ第二の港であり、夏場に限っては香深と沓形間での航路も運航している。
雨が降っているので、沓形のフェリーターミナルへ見学がてら避難。


時代を感じる運航状況の表示板がノスタルジックだ。
フェリーがやって来たので、外に出る。



こんな曇天でも変わらずフェリーは格好いい。
雨の一日、今日はゆっくりと過ごすことにしようかな。

のんびりしながらも、次の目的地へ向けてゆるりと出発。
利尻富士町のカントリーサインには、町のマスコットキャラクターであるシマリスのりっぷくん、りっぷちゃんがあしらわれていてかわいい。ちなみに名前は今調べて初めて知った。

そうこうしているうちに、島の南東にあるオタトマリ沼に到着。
沼の向こうには立派な利尻岳が見えるはずだが、あいにくの天気で顔を隠している。
雨脚も強くなってきたので、湖畔にある売店に避難。

お土産やソフトクリーム、ホタテ焼きなんかも提供されている。
見上げると額縁に収まった立派な利尻富士。
いずれ晴れた景色も改めて拝みに来たいと思う。




その後は利尻島郷土資料館へ。
利尻や礼文が北海道本島や本州とのつながりの中でどのような歴史を歩み発展してきたのか、豊富な史料や展示から学ぶことができる大層面白い施設だった。
雨の日じゃなくとも、土地に関心のある方々には訪れることをおすすめする。
入館料も数百円ですごくリーズナブルだ。
ということでその後は利尻のバフンウニを食べたり、町営の温泉に浸かってのんびりしたり。雨を逆手に取った良い一日を過ごすことができた。

雨が上がった、宿の前の風景。
静かながらも灯りがともる利尻の町はどこか居心地がいい。
夏でも肌寒いこの島の夜風にひとりあたるこの瞬間ほど、旅情をそそるシチュエーションもなかなかないだろう。
最終日、3日目
3日目、朝。旅の最終日だ。
荷支度を済ませ、お世話になった宿にチェックアウトして外に出ると、そこにはすっきりとした青空が広がっていた。



心から清々しい。昨日の曇り空が嘘のようだ。
個人的な経験則でしかないが、旅の最終日はなんだか晴れが多い気がする。
帰り際がいつも惜しいのはそのためかもしれない。
昨日に引き続き沓形へ。
しかし今日は港ではなく、沓形の町に用事がある。

これぞあるべき利尻富士の姿だ。
晴れてくれて本当に良かった。




沓形に到着。
町に飾りがつけられ、なんだか賑やかな雰囲気だ。
ここにやって来た目的は、利尻の名店として名高いラーメン屋である「利尻ラーメン味楽」さんに伺うためだ。
島の方々からも美味しいとのお墨付きだったので、これはぜひ頂きたい。
話によるとかなりの人気店らしく、並ぶのが普通らしい。今日はどうだろうか。
完全にお店の写真を撮り忘れていたが、それほど並ばずに入店することができた。店内は非常にきれいで、注文は卓からタブレットで行うことができる。

看板メニューである焼き醤油らーめん。
これは本当に絶品だった。おすすめ。
ということでお昼を済ませ、島で残された時間もわずかになってきた。
出発。


車窓から利尻の海を見ていると、じわじわと惜別の念が湧き上がってくる。
本当に美しい島だったな。
今回の滞在ですっかり利尻島が大好きになった。
きっとこれからも何度も訪れることになるだろう。
その時を楽しみに、今回はひとまずさよならだ。
なんて感傷に浸るにはまだすこし早い。
目的地へ到着。

白い恋人の丘へやって来た。
ここはかの有名な北海道銘菓、白い恋人のパッケージのモデルといわれる場所。
深呼吸して景色を眺める。
昨日訪れたオタトマリ沼の向こうに、満点の利尻富士。
まさに絶景以外の何でもない。圧巻だ。

反対側を向いてみれば、青く染まった日本海と北海道本土も望むことができる。
もう言葉もいらない、そう思わせてくれる景色だった。

そして最後に立ち寄ったのは島の北部にある姫沼。
木漏れ日を浴びながら緑の中を進み、橋を渡って沼にたどり着いた。
最後に見事な利尻富士を見ることができ、これでもう思い残しはない。
青空に見送られ、さよなら
帰路につくため、鴛泊港へ。

思い出深いペシ岬ともさよならだ。



ターミナルで乗船手続きを済ませ、車を船に積み込む。
ああ、本当に素晴らしい島だった。
この島にまた会いに来よう、そう静かに一人で約束し、フェリーに乗船する。





さよなら利尻。
晴れ渡った青空が、切なくもさわやかな別れを演出してくれる。
去り際にこんなに胸がいっぱいになった島は初めてかもしれない。



気持ちの良い午後の甲板から、ゆっくり遠ざかっていく港を眺めていた。


海面に轍を残しながら、船は夏の海を進む。

船内。
まどろんだ空気に満ちた、夏の午後。

きらきらと海ではじけた光が、窓から差し込む。
船の揺れに体と意識を預けていると、あっという間に稚内が近づいてきた。
積み込んだ車に乗り込み、下船を待つ。

北の果てで、まだ知らない日本に触れた夏だった。
これからもたくさんの離島を訪れていくだろうが、今回ほど心を揺さぶる旅は今後あるだろうか。
いつかきっとあるだろう、そのために旅を続けていこう。
そう思えた旅の終わりだった。
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コメント
“【利尻島】北の名峰と海に魅せられた、利尻の夏” への1件のコメント
[…] 用されている「カランセ奥尻」だ。ちなみに今回の乗船でハートランドフェリー/オクシリアイランドフェリーはめでたく4隻制覇。どこか達成感がある。※利尻島はこちら/礼文島はこちら […]