日本の離島を旅しよう。

【与那国島】原付に乗って、最西の風を切る日


朝。
日本最西の地で起床する。

旅の中で感じる、「自分は今、遠くにいる」という実感が好きだ。

旅の1日目ではなかなか感じることができないが、旅先の土地でひと晩を明かすとだんだんその実感が湧いてくる。

今日は友人が飛行機で与那国にやって来る。
これから彼と合流して、昨日は見られなかった島全体を周る予定だ。

与那国島は、意外と大きい。
そのスケール感と体にこたえる暑さを考慮して、レンタルの原付を使うことにした。

原付には今まで一度も乗ったことがないが、大丈夫だろうか……。

朝の久部良集落。

町には水路が通っており、かなりのんびりした空気感がある。
そしてすぐ後ろには海が広がる、よい場所だ。

友人が到着するまではまだ少し時間がある。
海の方を歩いてみよう。

昨日から猫をよく見かける。
どうやら餌付けされているらしい。何かを一心に食べている。

昨日訪れた西崎の灯台がよく見える。

週2便運航されるフェリーよなくにが就くのも、この港だ。

ぼーっと景色を眺めていると、小さな漁船が頻繁に港を出入りしていく。
船っていいよなあ……。

そろそろ原付を借りて、空港へ向かおう。
久部良にあるミミズレンタカーさんで原付をレンタルする。

親切なお店の方に一通り操作を教えてもらい、出発。
右手のスロットルをひねると、ぐんと車体が前に引っ張られる。

走り始めて少し経つと、だんだんコツがわかってきた。
これは発進時のスロットルのひねり加減と、体重移動が重要だな。

空港へ向けて原付を走らせる。

昨日の徒歩行軍とはうってかわって、実に爽快。風も気持ちいい。
そしてなにより速い!エンジンの偉大さを思い知った。

ということで友人とも合流し、まだ未踏である島の東部へ。

馬だ!

与那国島には、ヨナグニウマという固有の馬がいる。
小柄で温和な馬だ。

当然のように道路を闊歩するヨナグニウマたち。
実際お邪魔させていただいているのは我々のほうなので、邪魔をしないよう通る。

道にあるデコボコは「テキサスゲート」とよばれる、馬が外に出るのを防ぐための溝。

気を付けて通るよう、レンタル屋の店員さんにアドバイスを頂いた。

空港から20分ほど原付を走らせ、東崎へやってきた。

昨日訪れた西崎は「いりざき」と読むが、ここ東崎は「あがりざき」と読む。
初見じゃまず読めない。

西崎同様、岬の先端には灯台がある。
灯台のほうへ向かうのは後回しにして、ひとまず海へ続く道を進んでみよう。

水平線がくっきり見える。

景色に気を取られすぎないよう気を付けながら、急な下り坂を進んでいく。

それにしても、今日も暑い。
風を切って走っていないとどうしようもなくなるほど暑い。

じっとしていると、太陽に肌が焼かれていくのがわかる。

海が青いなあ……。深めの青だ。

道を引き返して灯台の方へ向かう。

東崎展望台に到着。
原付を止めて、少し歩く。

牛が日陰に集まっている。やっぱり暑いよね……。
そしてよくよく見てみると、ヨナグニウマも紛れている。

ここで灯台を背景に、草地を悠々と歩くヨナグニウマたちが「与那国島といえば!」という定番の風景であるが、暑すぎるためか一頭も出てきてくれなかった。

この牛だけは、炎天下でも静かに草を食んでいた。孤高の牛だ。

東崎をあとにして再び原付を走らせる。

海沿いで風を切って走るのが最高に気持ちいい。

ライダーたちはこの感覚に魅了されてバイクを走らせるんだろう。
今の自分ならその気持ちがわかる気がする。

しばらく走り、島の南部である比川集落へやってきた。

与那国島には祖納、久部良、比川の3つの集落があるが、ここ比川は他2つに比べるとこじんまりとしている。

比川のお店で八重山そばを頂いた。

お腹が空きすぎていたのか、iPhoneで雑に撮った写真しか残っていなかった。

とても美味しかった!
個人的には本島の沖縄そばよりも、八重山そばのほうが好みだ。

昼食を済ませ店を出た。
比川にはドラマ『Dr.コトー診療所』のロケ地があり、見学ができる。

なんとなく高台にあるイメージだったけれど、そんなことない浜のすぐそばにセットが建っていた。いいロケーションだ。


病室からこんな景色が見えるのなら、入院するのも悪くないと思ってしまう。

気軽に入れる建物があまりないこの島においては、空調が効いているのもありがたくて、休憩がてらについつい長居してしまった。

いつまでも休んでいるわけにもいかないので、思い切って外へ出る。

原付のシートは黒く、日なたに停めておくとすぐに熱々だ。
我慢してまたがり、発進。その熱を風に逃がすようにスロットルをひねる。

次は与那国島最高峰、宇良部岳へ。

舗装された山道をフルスロットルで登っていく。
舗装されているとはいえ道は狭く、ところどころ路面も怪しい。

バランス操作に気を使って着実に走りを進めていくと、大きな塔が目立つNTTの無線中継所で行き止まった。

駐車スペースに原付を止めて、かろうじて伸びる獣道を進むこと数分。

わずかな展望スペースが現れた。

祖納集落や空港を見渡せる絶好の眺めだ。
やはり旅先では高いところに上るに限る。

宇良部岳を下り、昨日ぶりに祖納へやって来た。

昨日は暑さにやられてあまり集落を見られなかったから、少し散策してみよう。

祖納には集落からすぐ、ナンタ浜という白砂のビーチがある。
歩いてすぐに行けるところにこんなにも美しい海岸があるのは、とても羨ましい。

馬の散歩にやってくる地元の方の姿も見かけた。
与那国島での馬と人の近さからは、なんとなく豊かさを感じる。


寄り道した商店の横にあった路地。沖縄の離島らしくていいな。

原付を返す時間も近づいてきたため、久部良に戻る。

まだ少し時間がある。
今日も天気がいいから、昨日に続いて西崎展望台へ行ってみる。

久部良岳を背景に、停泊するフェリーよなくに。
素晴らしい眺め。船がある景色が大好きだ。

明日はあの船に乗って与那国島を発つ予定。
フェリーよなくには揺れがすごいらしく、「ゲロ船」と評判だ。
少し不安になってきた。

西崎展望台から見える道。

昨日はいなかった馬が、今日はたくさんいる。
会いに行ってみよう。

普通に道路にも入ってくるヨナグニウマたち。

間近で見られる。触ろうと思えば余裕で触れる距離だ。
みんなすごく大人しく、とてもかわいい。

さて、そろそろ原付返却の時間が迫っている。

ミミズレンタカーさんに戻り、原付を返却した。
事故無く無事返すことができてよかった。

ここからは、歩きで「久部良バリ」という名所へ。
ミミズレンタカーから、集落の北側へ坂を上って向かう。

ここが「久部良バリ」。

「バリ」とは「割れ目」という意味であり、言葉通り岩には深い割れ目が刻まれている。

かなり深く、迂闊に近づくと落ちてしまいそうだ。
正直結構怖い。

ここ久部良バリでは昔、人頭税に悩まされた住民たちが口減らしのため、妊婦に割れ目を飛び越えさせたという伝承があるそうだ。

実際にこの景色を見たうえでその話を聞くと、足がすくんでしまう。

近くには祠があった。

妊婦たちを供養するためのものだろうか。

あたりを見回してみると、岩を下って海岸の方へ近づけそうだったため、足元に気を付けて進んでみる。

海岸にはすごい地形が広がっていた。

この独特の海岸景観は「久部良フリシ」と呼ばれ、砂岩が波に侵食されて形づくられたものだそう。

引き返して上に戻る。

空が広い……。

雲が一続きになっていて、広がった空を覆っている。

当たり前のことだけれど、実感を持ってそう思わせてくれるような景色だ。
空だけで単純に感動してしまった。

さて、そろそろ宿へ戻ろう。

帰り道でも空が素晴らしくて、たくさん写真を撮った。

少しずつ日が落ちてきた。

日没が近づいている実感。

久部良集落へ帰還。

明日は最西端・与那国島から、最南端・波照間島へ船を乗り継ぐ旅路が待っている。楽しみだ。

次の記事へ続く

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